遺言状が無効とならないために

まず、大前提として遺言が有効に成立するためには、遺言をする時に遺言者が意思能力を有しなければなりません(民法963条)。
この意思能力があるからこそ元気なうちに早く遺言状を書くべきなのです。
民法では、方式違背の遺言、錯誤による遺言などと同じく、意思能力を欠く者の遺言は無効とされます。

このような意思能力を踏まえると無効にならないようにするためには証拠を残しておく必要があります。

具体的には、公正証書遺言であれ自筆証書遺言であれ、診断書、診療記録、看護記録や介護認定に関係する資料、介護過程で記録されたエピソード等です。

しかし、これらの書類も保存期間を経過すれば利用することも困難ですので、記録作成者等に事情を説明し協力を求めることが考えられます。

これに加え、実務で使うのは『改訂長谷川式簡易知能評価スケール』です。
これは、本人の記憶力や認知力について心証を得る目的で、通常、人が経験する日常的な事象について質問をし、全てに適切な回答をした場合を30点満点とし、20点に満たない場合にはその人について認知症が疑われるというものです。長年運用されて、研究に基づいているから信頼性は高いです。

遺言書のお役立ち情報にも掲載しておりますが、遺言書の書き方を学んでご自身で書いたりするよりも一定の費用をかけてでも公正証書遺言で遺言書を残しておく方が後々のリスクは軽減できるし、確実で安心です。