遺言書の書き方やよくある質問
遺言書作成をご希望の方よりよくいただく質問をまとめておりますので、ご参照ください。
Q1.大阪府以外でも依頼は受けてくれますか?
A.はい。基本的に全国対応でございます。
電話やメールを通じて遠隔での打ち合わせも可能でございます。戸籍謄本等も郵送で役所へ請求できるのと、不動産登記簿謄本もどの法務局で請求できます。
しかし、依頼をお引き受けする際に契約を締結するためにお会いさせていただく形になりますので、大阪府以外の場合は交通費をご負担いただくこととなります。
Q2.遺言書は自筆証書と公正証書ではどちらがオススメですか?
A.作成されたい方のご意向によります。
予算を最低限に抑えたい方は自筆証書。
一方、予算を高くしてでも、検認を避けるとともに、相続争いのリスクを下げることで手続きをスムーズに確実に行いたい方は公正証書を。
個人的には、現行法では公正証書遺言をオススメしますが、改正法で法務局保管サービスが開始されれば自筆証書をオススメいたします。
Q3.夫と次女には財産は渡さず、長女だけに財産を渡したいのですが、遺言で実現できますか?
A.可能ですが、遺留分侵害額の請求(改正民法1042条~)を行使されるリスクはあります。
遺留分侵害額請求とは、法律上、法定相続人に認められている最低限の相続権の持分(遺留分といいます。)を侵害されている相続人が、遺留分を侵害している受遺者や受贈者に対してその侵害額を請求することです。
遺留分を請求できるのは、法定相続人のうち、被相続人の配偶者、子(直系卑属)、父母(直系尊属)です。
遺留分割合は、2つのケースで異なります。
直系尊属(例えば両親)のみが相続人のケースですと、相続財産の3分の1。
それ以外の場合は相続財産の2分の1となります。
しかしながら、兄妹姉妹には遺留分はありません。
本件の質問のケースでは、夫と次女より行使されるリスクははらんでおりますので、可能な限り遺留分に配慮した遺言書を作成されることをオススメいたします。
Q4.手続の流れを簡単に教えてください。
A.まず、遺言者様より財産分配方法につき、ご希望をヒヤリングいたします。
次に、遺言者様のご出生時から現在に至るまで戸籍謄本を回収させていただき、推定相続人の調査を行います。
その後、預貯金残高資料、不動産の登記簿謄本、固定資産税評価額証明書、課税台帳、株式を収集し、財産の調査をさせていただきます。
前提情報が固まった後に文案を作成いたします。
公正証書遺言の場合は公証役場へ上記の根拠資料とともに文案を送付し、公証人と打ち合わせを行います。
そして、調印日を決めた後に公証役場で遺言者様、公証人、証人2名で遺言書に捺印いたします。お身体が不自由な方は公証人が出張できます。
自筆証書遺言の場合は、上記文案を直筆で書いていただきます。
Q5.弁護士ではなく、行政書士に遺言書作成サポートを依頼するメリットは何ですか?
A.費用が安い点にあります。
具体的には、弁護士は紛争になってからも包括的に対処ができることを前提に報酬額を定め平均的に10万円~20万円程でサービス提供をしております。
一方、行政書士の場合は弁護士のように万が一紛争に発展した際にその交渉、解決をすることは法律上不可能ですが、その分サービス範囲が狭い分費用が5万円~10万円と抑えられます。中でも当センターでは業界最安値に挑戦しておりますので、4万円台でご提供が可能なのも人気な理由です。
紛争解決まで射程圏内ではないものの、そもそも遺言書の目的は相続人間の争いを防止する予防法務にありますので、遺言書作成時点から紛争発展性を考慮する必要性は低いと思慮します。
Q6.相続法改正で何が大きく変わりますか?
A.遺言の財産目録がコピー等の添付でよくなったり、法務局で自筆証書遺言の保管サービスが開始されます。また、配偶者居住権の新設や遺留分侵害額の請求への変更などがあります。
要するにこれらの改正は相続手続きの円滑化を目的としております。
自筆証書遺言についてはより使いやすい制度設計となりましたので、是非一度ご相談ください。
Q7.任意後見契約書の作成なども対応していますか?
A.はい。生前対策にかかわる財産管理契約書、任意後見契約書、死後事務委任契約書、尊厳死宣言書の作成など生前対策に関する書類作成も低料金でご支援させていただいております。
Q8.遺言で対象財産を特定するため、記載に工夫及び注意する事例を具体的に教えてください。
A.大きく4つのパターンがあります。
1つが住居表示と地番が異なる場合
2つが遺言時はまだ建物が存在しないものの、遺言者が死亡する時までには完成予定の建物について相続させたい場合
3つが未分割の相続財産の相続分を相続させたい場合
4つが建物とともにその建物のための借地権を相続させたい場合
1つ目ですが、これが一番間違いが多いポイントでせっかく書いた遺言が無駄になるケースが最も多いです。
不動産を特定するには『地番』による必要がございます。住居表示と地番を混同してはいけません。正確に遺言書に書くべき情報は、登記簿謄本、固定資産評価証明書、納税通知書に記載されている地番を記載すべきでしょう。
2つ目ですが、まれにこのケースも見ます。
この場合は、包括的な書き方をすればよいでしょう。
具体的には、遺言者は、その建物が建つ予定の土地を指定して、「遺言者は、下記土地に存する建物の一切を、遺言者の長女□□に相続させる。」という内容に記載すべきでしょう。
3つ目ですが、このケースも1つ目と同様に頻繁に見ます。
この場合は、「遺言者は、遺言者の亡夫の遺産について遺言者が有する相続分を、遺言者の長男□□に相続させる。」と記載すべきでしょう。
4つ目ですが、この場合は、「遺言者は、その有する下記建物及び同建物のための借地権を、遺言者の長男□□に相続させる。」と記載をすべきでしょう。
上記のような事例が発生するまでには、綿密な調査が必要です。
必ずトラブルのない遺言書を作成する前には、推定相続人の調査及び財産の調査をしてください。このお手続きは様々な役所に出向き、資料を収集する必要があり、手間と時間と労力が甚大です。
これらのお手続きを相場よりも低料金で当センター代表行政書士の大山悠太が代行いたしますので、お気軽にお申し付けください。
Q9.判断能力のない被後見人の遺言は無効でしょうか?
A.結論から申し上げると、状況によっては有効となりえます。
具体的には、成年被後見人については、事理を弁識する能力を一時回復した場合には遺言することができますが、その場合には、医師2名以上の立会いの下、遺言書に遺言者が遺言時に事理弁識能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、ここに署名捺印すれば有効となります。
民法961条では15歳に達した者は遺言をすることができると規定しています。
そして、遺言について、成年被後見人の法律行為の規定(民法9条)、保佐人の同意を要する行為の規定(民法13条)、補助人の同意を要する旨の審判の規定(民法17条)は排除されます(民法962)。
しかし、遺言の内容及び当該遺言に基づく法的結果を弁識、判断するに足る能力(遺言能力)を欠く者の遺言は無効です。
Q10.遺言能力の判断はどのような基準で判断されるのでしょうか。
A.大きく3つの要素を総合的考慮され、判断されます。
1つが、遺言時における遺言者の精神障害
つまり、診断書、入院診療記録、医師の話、立会人の話が重要な判断資料となるでしょう。
2つが、遺言内容
つまり、遺言の内容が複雑か簡易的か否かが重要な判断資料となるでしょう。
3つが遺言の動機、遺言に至る経緯
つまり、遺言者が当該内容の遺言をするのが自然かどうか重要な判断資料となります。
よって、遺言時の遺言者の様子を録画したり、やりとりを録音することのほか、
遺言の経緯を内容として事細かに記載することが遺言無効のリスクを防ぐうえでは重要といえます。
Q11.全部包括遺贈と割合的包括遺贈について教えてください。
A.全部包括遺贈とは、遺言者が遺言者の有する財産(遺産)の全部を受遺者に包括遺贈することをいいます。
一方、割合的包括遺贈とは、遺言者が一人または数人に対して遺産の具体的持分または分数的割合を示して、一部を受遺者に包括遺贈することをいいます。
例えば、受遺者が一人の場合は「甲に対し全財産の3分の1を包括して遺贈する。」、複数の場合は「全財産を甲乙丙の3人に対して3分の1ずつの割合で包括して遺贈する。」と遺言状に書きます。
Q12.生命保険の受取人を遺言状で変更することはできますか?
A.保険約款で禁止されていない限り、可能です。保険法44条で遺言による受取人の変更は認められております。
しかし、保険会社の二重払いのリスクがあることから保険会社への通知が対抗要件となりますので、ご注意ください。
なお、書き方については遺言書の書き方に文例を載せておりますので、ご参照ください。
Q13.遺言書の内容を誰にも知られたくない場合に、遺言はどのようにすればよいのでしょうか。
A.この場合は「秘密証書遺言」を利用することとなります。
秘密証書遺言は、公証人が関与する遺言ですが、次の要件を満たすことが必要です。
(1)証書の作成
これは自筆でもパソコンのワードでもOKです。
(2)署名・捺印
(3)封入・封印
(4)公証人への提出等
(5)公証人による署名・封印など
要するに、遺言者が作成した遺言書に署名・捺印を自ら行った後、
証書を封筒に入れて、公証人へ提出します。
封筒の中に入っていますので、公証人にも遺言状は見ることはできません。
結果は中身は遺言状を書いたご本人にしかわかりません。
公証人へ提出した後、公証人と証人2人以上の面前で封筒の中の遺言書が自分の遺言書であること、その筆者が誰であるか、自分の氏名、住所を述べます。
そして、遺言書の封筒に証書(遺言書)の提出日、遺言者の申述内容を記載し、遺言者、証書2人以上、公証人が署名・捺印をします。
しかし、実際、この方式はほとんど使われていないのが実情です。
Q14.死亡退職金について、遺言で受取人の指定をすることはできますでしょうか。
A.退職金支給規定が就業規則中の内容次第でケースバイケースです。
判例の流れによると、そもそも死亡退職金の趣旨を遺族の生活保障にあることから、受給権者の固有の権利としており、死亡退職金を原則として被相続人の相続財産に当たらないと解されております。これにより、退職金支給規定の中に、死亡退職金の受取人について、特に遺言状で指定することを容認したような条項が存在しているときはともかく、このような条項が存在しない場合には、原則通り、遺言により死亡退職金の受取人を指定することはできないと解されます。
そこで、事前に退職金支給規定の内容を精査して、勤務先に遺言で指定可能か否かをチェックする必要があります。
Q15.「相続させる遺言」と「遺贈する遺言」に具体的にどのような違いがあるのでしょうか。教えてください。
A.大きく4点あります。
内訳としては、①相続による不動産の所有権移転登記が単独でできるか、②土地・建物の登録免許税について違いはあるか、③遺産が農地の場合、農地法3条の許可がなくても相続による所有権移転登記ができるか、④遺産が借地権・借家権の場合の民法612条の賃貸人の承諾は必要か。です。
まず、①については、「相続させる遺言」の場合は、相続人の単独申請によってできますが、「遺贈する遺言」の場合は、特定遺贈と包括遺贈のいずれの場合も、遺言執行者がいればその人と、いなければ相続人全員が登記義務者となり、遺贈を受ける人と双方で登記申請することとなります(不登法63Ⅱ、60、最二小判平8.1.26民集50・1・132参照)。
次に、②については、「相続させる遺言」の場合と、相続人に「遺贈する遺言」の場合、要するに受遺者が相続人の場合は、0.4%ですが、相続人以外の人に「遺贈する遺言」の場合は、2.0%です(登免9別表第1)。土地・建物の登録免許税の関係では、このように受遺者が相続人であるかそれ以外の第三者かで区別しており、相続人を税制上優遇しております。
さらに、③については、「相続させる遺言」の場合は、農地法3条の許可がなくても、相続による所有権移転登記ができます。「遺贈する遺言」の場合は、許可を得る必要があります。また、死因贈与契約の場合も、同様に、農地法3条の許可は必要です。
最後に、④については、「相続させる遺言」の場合は、民法612条の賃貸人の承諾は不要ですが、「遺贈する遺言」の場合は、包括遺贈の場合は上記承諾は不要ですが、特定遺贈の場合は必要です。なお、借地権・借家権についての死因贈与契約の場合は、賃貸人の承諾が必要です。
以上、①~④を踏まえると、「相続させる」文言ではなく「遺贈」で相続人に渡す旨遺言状に記載をすると手間が発生する可能性がありますので、相続人に対する遺産承継では「相続させる」で記載することをオススメします。
Q16.自分が希望する葬儀や埋葬の方法を遺言で決めておくことはできるでしょうか。
A.大きく2つあります。一つが遺言で祭祀承継者を指定すること、二つ目が遺言ではカバーできない法的効力を持たせることができる死後事務委任契約を締結することです。
まず、一つ目は民法897条には祭祀財産の承継者は、被相続人の指定で決められると規定されています。指定の方法は無制限ですが、遺言で行うのが一般的です。ただし、決められることは祭祀財産(お墓等)を承継する人です。ご質問の葬儀や埋葬の方法は、法的な効力を有する法定遺言事項ではない点が要注意です。ただし、法的な効力はなくとも、付言事項で遺言者の希望、事実、訓戒などを付言として遺言に記載することはできます。
そして、一つ目の上記弱点を補うのが死後事務委任契約です。これは当センター代表行政書士も地域包括支援センターからの紹介によりお一人身のご老人の方をご支援する場面で公正証書で締結する場面が多々あります。
そもそも死後事務委任契約とは、委任者が生前に信頼できる受任者との間で、死後の事務に関することを決めるものです。この事務に葬儀や埋葬が含まれます。
この契約の中で、(1)親族、縁故者への死亡の連絡、(2)葬儀、埋葬、納骨に関する事務、(3)病院・施設入所費用等の債務の支払に関する事務、(4)生活用品、家財道具等の整理処分に関する事務、(5)相続人、縁故者への遺品の引渡事務(形見分け)、(6)行政官庁への諸届事務などを定めることで、受任者はこれらを確実に履行する義務を負います。
当センターは疎遠になった親族しかいない場合、そもそも親族がいない場合のご支援として、代表行政書士を受任者とする死後事務委任契約書を遺言とともに公正証書で締結する部分まで包括的サポートも行っております。そして、その後も遺言執行とともに死後事務を履行し、委任者様のご意向を実現することを日々行っております。