遺言状お役立ち情報

ご家族様必見!賢い相続対策を行うためにどうすればいいか。

最近、地域包括支援センターなどへご挨拶へ伺うと既に判断能力が著しく低下された親御様のご相談をされているご家族様を見ます。

こうなってしまうと非常に煩雑な成年後見手続きを使いざるを得なくなります。
そして、なによりも本人が判断能力を低下してしまった以上、遺言書も書けないのに加え、尊厳死宣言書も作成できません。
判断能力が低下し、医師から診断書が発行された時点で相続手続きは遺産分割協議を経ることとなり時間と労力、余計な費用をかける結果となります。尊厳死宣言書がなければ、延命治療を続けざるを得ず、入院費や医療費の経済的負担も大きくなる一方です。
このことからご家族様の負担は避けられません。

このコーナーはそのような後手に回ってしまうご家族様が大変多く存在している現状を踏まえ、一組でも多くのご家族様の経済的利益、ご本人様の利益、何よりも笑顔を実現したい思いで設けました。

ご参照ください。

公証人が関与したものの、遺言能力が認められなかったケース(公正証書遺言編)

令和2年1月3日更新

自筆証書遺言の場合はより遺言無効のリスクは高いものの、公正証書遺言でも一定のリスクはあります。以下のように裁判例では公正証書遺言の場合でも遺言が無効となっております。油断はできません。

要するに、公証人が遺言者の自宅を訪問して、あらかじめ信託銀行職員が作成していた遺言書の原稿を項目ごとに確認し、その通りでよいとの答えを得た上で作成した公正証書遺言の効力が否定されたものです。

裁判所は、数年前にアルツハイマー型認知症になり、遺言状を作る約5カ月前の長谷川式評価が9点であったこと、遺言の内容は多数の不動産などを複数の相続人に分け、一部を共有とした上、遺言執行者も複数の者を指定するなど比較的複雑な内容であることなどを総合考慮して、遺言能力を否定しました。

以上のように、遺言状の内容が複雑かつ作成当時までに長谷川式簡易評価の点数が低い事実があった場合は公正証書遺言でも要注意です。

遺言能力が認められないケース

令和2年1月2日

遺言には意思能力が必要(民法963条)です。再三申し上げるように、認知能力が低下してからでは既に遅いです。
認知能力低下後の遺言は無効となるリスクもあり、遺言がない場合には遺産分割協議が始まります。こうなると相続人全員の同意も必要であり、協議が決裂すれば調停や裁判に移行するケースは少なくありません。

そこで、どの程度の意思能力で無効とされたか、裁判例をピックアップいたしました。

高齢者の自筆証書遺言の効力が争われた事案です。裁判所は、診療記録、看護記録等に基づいて行われた遺言能力の存否に関する鑑定の結果を採用し、遺言書作成の1年前には長谷川式評価の成績が8点であり、見当識障害、記憶障害等の症状が見られ、痴呆(認知症)は徐々に重症化していたこと、あらかじめ当該遺言による受益者が遺言を起草した事実が伺われること、ことさら遺言書を本人に読ませてこれを録音していること、また事前に弁護士に相談する機会があったのに公正証書遺言の方法が選択されていなかったことなどを総合して、遺言能力はなかったと認めました。

つまり、自筆証書遺言ではこのような無効リスクは拭えないので、現時点では公正証書遺言で遺言書を書いておく必要があるといえます。


生命保険金は特別受益にあたるのか?

令和2年1月1日更新

答えは財産の内容やその他の諸般の事情に応じてケースバイケースです。
最高裁の判例において、原則は特別受益にはあたらないとしつつも、以下のような状況では特別受益となるとしました。
『保険金の額や、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなど保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人の関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮した結果、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生じる不公平が同条の趣旨に照らし到底是認できないほどに著しいものと評価すべき特段の事情がある場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持ち戻しの対象となる』

このように、諸事情を踏まえて特別受益にあたるかは判断されます。
相場感としては、総財産の6割超の場合にあたる傾向にあります。

必ず遺言書を書くべき方の家族構成

2019年12月27日更新

それは以下の方です。
・親が亡くなり、子と配偶者なしで、兄弟姉妹やその子(甥・姪)が存在している方
・親が亡くなり、子と配偶者なしで、全血の兄弟姉妹がいないが、半血兄弟(腹違いの子)が存在する方

この方々が遺言を書かなければ、兄弟姉妹に100%の財産がいってしまいます(頭数で分配されます。)。
なぜなら、民法では相続の順位で配偶者は必ず、第1順位で子供、第2順位で直系尊属(親)、第3順位で兄弟姉妹と定められており、第1順位、第2順位が存在しないからです。
そして、相続人のうち配偶者及び子供、直系尊属には遺留分が認められております。
しかし、兄弟姉妹には遺留分はない。
つまり、本来、遺言書でこの遺留分を侵害する内容にすれば子供や配偶者より侵害額請求をされてしまいますが、兄弟姉妹の場合は遺言書を書くことでシャットアウトできるということです。

兄弟姉妹と仲良く、お世話になっていれば遺言書を書かずに、法定相続分通り遺産分割協議で分配すればよければいいのですが、
疎遠になっており、それよりもお世話になった団体や第三者に財産を渡したいと思われている方は遺言書を書いておかなければなりません。

法律を知っているか知らないかで損をするのもひどいお話です。

認知症になるまで必ずやるべきこととは?

2019年12月17日更新

やるべきことは、財産管理契約、任意後見契約、死後事務委任契約の締結並びに遺言書、尊厳死宣言書の作成です。
なぜなら、残された家族の負担が一層軽減されるからです。
息子や娘が同居しているケースならここまでの準備は必要ないですが、近くに頼れる人がいない方はこの準備をしていないと致命的です。
なぜなら、身体能力が低下した場合に金融機関への取引や生活費の支払いなどはご自身ではできなくなるからです。
遠方に住んでいる親族が不自由な親御様のために毎回手続きや生活支援のために戻ってきたりするのは不都合であると思慮します。

そこで、上記のような契約を専門家と結んでおくことで円滑に介護施設への入所契約を締結したり、生活資金を定額で渡したり、必要な金融機関や公的機関と手続きを専門家が代行することができます。

そして、判断能力が低下した場合には任意後見人の申し立て手続きへ移行することでご本人様の財産を守ることもできます。
最近、オレオレ詐欺も流行っているので、非常に効果的です。

結果、ご本人様、家族様の負担は減るとともに利益を守ることが可能なのです。

当センターでは身寄りの少ない方の暮らしの包括サポートを低料金でご提供しております。
認知症になってしまうと、制限行為能力者となり、契約が締結できないこととなります。
残されたご家族の負担を減らし、財産を守るためにも早め早めの対策をすることが重要です。

遺言書は相続対策の真骨頂

やはり遺言書は大事でした。

(2019年12月13日更新)

箕面市のとある遺言書作成の依頼者様のお住まいのマンションの登記簿謄本を拝見いたしました。すると、名義がご逝去された旦那様名義でした。。。
何が問題かと申しますと、当該依頼者には子供はいない。となると、亡き旦那様のご兄弟にも相続分が民法では1/4認められております。
このため、亡き旦那様の戸籍謄本を遡ったところ、ご兄弟がいらっしゃたが、既にご逝去されてました。
ここで、相続権は配偶者の奥様だけだ!
と思いきや、そうではありません。

なぜなら、「代襲相続」が民法で定められているからです。
代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人より先に相続人が亡くなっている場合に、被相続人から見て【孫】【ひ孫】【甥、姪】等が相続財産を受け継ぐことをいいます。
そして、本件では甥っ子が存在しておりました。

民法のルールでは遺言書がなければ、これらの代襲相続人も含めて遺産分割協議をしなければ、不動産の登記移転ができません。
とすると、協議しなければいけない。。。

そして、実務の大部分は最低限の法定相続分を代償として相続人へ支払って、今までの家に住み続けるということになりますので、経済的に大打撃です。
※マンションの固定資産税評価額では土地・家屋あわせても600~700万円の金銭的価値があることは往々にしてあります。
この1/4(25%)とはいえ、175万円も支払わないといけません。

紛争性も帯びてくるので、これ以上、私が踏み込むと「非弁行為」となりますので、これ以降弁護士の先生にお世話になるのか。。と思いました。

しかし!!

この状況を打開するために、私は、その方に「遺言書」の有無を
すぐに確かめました。

結果、亡き旦那様は自筆証書遺言で日付、氏名、全文を自筆でしっかりと書かれており、捺印もされていました。

よって、煩雑な遺産分割協議をする手間も省け、あとは、遺言書をベースに司法書士へ相続登記の申請を委託するだけです。

という雑多な記載ですが、「遺言書」1枚で200万円前後は守られるわけです。