遺言書

 
遺言者○○○○は、本遺言書により次のとおり遺言する。
 
第○条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を長女○○に相続させる。

【付言事項】
長女○○は、認知症の母の面倒を長い間看てくれました。母さんが亡くなった後は、私の世話を一生懸命にしてくれています。そのために○○は婚期を逃してしまいました。○○を私たちの犠牲にしてしまったような気がしてなりません。私なき後、ひとり身の○○のことが心配でなりません。私の財産は自宅の土地と建物しかありません。この土地を○○が相続し、売却して自分の老後のために役立ててほしいと遺言を作りました。どうか私を安心させてください。他の兄弟達も私の気持ちを察してくれることを切に願います。

令和○年○月○日
大阪府大阪市○○区○○町○一丁目○番○号
遺言者 ○○○○ ㊞

★ポイント
 そもそも「付言事項」とは、法律に定められていないことを遺言でする事項のことをいいます。法律に定められた事項（法定遺言事項）についてされた遺言は、法的な効力を有しますが、付言事項については法的な効力を生じません。これはその付言の内容を実現するための強制力のある手段がないということを意味します。
例えば、希望、事実、訓戒などを遺言に付言したときは、その事項は、法的な効果は生じませんが、遺言者の意思が尊重されて結果的に希望等が実現されることがあります。
具体例としては、葬式の方法、死後の献体、家業の発展、家族の幸福の祈念、家族・兄弟姉妹等間の融和の依頼などです。
 ここでは一切の財産を相続させる文言になっておりますが、別頁の不動産換価型の遺言をご参照いただき、不動産登記簿謄本の通り記載し、不動産を特定していただくことが望ましいです。付言事項には遺留分侵害額請求等への配慮や経緯を記すことで、他の相続人の感情面に効果を及ぼし、紛争防止が期待できます。
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